この講で学習する内容 |
・材料倉庫(材料勘定)の2つのお約束 ・左から右へ ・材料副費とは |
工業簿記の特徴は、工場におけるものづくりに即して、モノの流れに合わせて会計処理(=仕訳、勘定記入)をしていくことでした。
ここからは、工場におけるモノづくりのスタートにあたる材料費から、詳しく学習していきます。
まずは、材料倉庫に材料が入っていくところからです。
材料倉庫にはお約束が2つあります。
材料倉庫のお約束~その1
まず1つ目。セクション1「工業簿記のダイジェスト」のところでも申しましたように、工場ではモノは左から右に流れます。材料倉庫も同じです。
【材料倉庫のお約束その1】
材料倉庫の入り口は左側、出口は右側
つまり、材料倉庫の中にある材料勘定の記帳方法として、材料を仕入れて材料が増えたときは借方(左側)、製品をつくるために材料倉庫から払い出して、材料が減ったときは貸方(右側)に記帳するということです。
材料倉庫のお約束~その2
お約束の2つ目は、材料を仕入れてきた際に、材料勘定の借方に記帳する金額には、材料の本体金額に、購入に付随して発生した費用を含めるということです。この付随費用のことを、工業簿記上は「材料副費」といいます。
【材料倉庫のお約束その2】
材料の購入原価に材料副費(付随費用)を含める
これは、簿記3級(商業簿記)で学習した、商品の仕入原価や固定資産の購入原価に仕入諸掛や付随費用を含めるのと同じ考え方です。別に目新しい論点ではありません。
【設例】 |
材料¥4,200を仕入れ、代金は掛けとした。 なお、引取運賃¥800は現金で支払った。 |
引取運賃は、材料の仕入に付随して発生した費用=材料副費です。
本体代金の¥4,200に、引取運賃を合わせて、材料勘定の借方に記帳しなければなりません。
【仕訳】
(借)材 料 5,000 (貸)買掛金 4,200
現 金 800
引取運賃を「支払運賃」(費用)に別建てしてはいけません。
「材料倉庫のお約束」のまとめ |
材料倉庫(材料勘定)のお約束 ・その1.材料倉庫は左から入って右から出る (=材料を仕入れたときは材料勘定の借方、消費するときは貸方に記帳) ・その2.材料副費は、材料の取得原価に含める |