前講までの第2次集計で、補助部門に集計された製造間接費が、すべて製造部門に配賦されました。

あとは、各製品が、それぞれの製造部門で作業した時間数に応じて、各製造部門費を製品(仕訳上は仕掛品勘定)に配賦すれば、製造間接費の仕掛品への配賦が完了します。製造部門費を各製品に配賦することを、部門別計算のなかでは第3次集計といい、部門別計算の最終段階の配賦計算になります。

第3次集計の製品への配賦計算の仕方

【設例5】
次の資料に基づき、製造部門費を各製造指図書に配賦し、あわせてその配賦の仕訳を行いなさい。なお、直接作業時間を基準として実際配賦するものとする。

[資料]

前講までの第1次集計や第2次集計の配賦計算と同様に、配賦率を算出してから、製造部門費を各製品に配分します。

第1製造部門費¥27,200÷直接作業時間17時間=@¥1,600/時間

→製品№101へ:@¥1,600/時間×7時間=¥11,200

→製品№102へ:@¥1,600/時間×10時間=¥16,000

第2製造部門費¥22,800÷直接作業時間19時間=@¥1,200/時間

→製品№101へ:@¥1,200/時間×10時間=¥12,000

→製品№102へ:@¥1,200/時間×9時間=¥10,800

製品別に、配賦された製造間接費(製造部門費)を集計すると、

製品№101:第1製造部門費¥11,200+第2製造部門費¥12,000=¥23,200

製品№102:第1製造部門費¥16,000+第2製造部門費¥10,800=¥26,800

第3次集計の仕訳

仕訳にすると、

【第3次集計の仕訳】

(借)仕掛品 50,000 

/(貸)第1製造部門費 27,200

/(貸)第2製造部門費 22,800

仕訳上は、製品№101も102も区別なく、仕掛品勘定になります。

こうして、もともと総額しかわからなかった製造間接費が、

第1次集計:製造部門・補助部門各部門に集計

第2次集計:補助部門に集計された部門費を製造部門に配賦

第3次集計:製造部門費を、作業時間等を基準に各製品に配賦

することで、各製品に配賦されました。

大変でしたね。

実際配賦と予定配賦

上記の流れのとおり、製造間接費の実際発生額を第1次集計→第2次集計→第3次集計の順で計算し、算出された製造部門費の実際発生額を各製品に配賦することを、実際配賦といいます。

これに対し、あらかじめ予定額を決めておいて、予定額を使って各製品に配賦することを予定配賦といいます。

次は、予定配賦の場合を学習します。

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