実際原価計算における製造間接費配賦差異分析のシュラッター図

以前に学習した実際原価計算におけるシュラッター図を、固定予算の場合変動予算の場合それぞれ思い出してください。

【固定予算の場合のシュラッター図~実際原価計算】

【変動予算の場合のシュラッター図~実際原価計算】

標準原価計算における製造間接費差異のシュラッター図

実際原価計算で学習した固定予算と変動予算のシュラッター図に、タテ線を1本追加します。場所は、実際操業度の手前です。

【固定予算の場合のシュラッター図~標準原価計算】

ヨコ軸から垂直に伸びるタテ棒が3本になりました。左から、標準→実際→基準の順です(「ひ・じ・き」と覚えておきましょう)。もし仮に操業度がこの順ではない場合(例えば、標準>実際、あるいは実際>基準)であったとしても、「ひ・じ・き」の順は崩さないでください。

そして、標準操業度(「ひ」)から配賦線までのタテ棒の長さ(=配賦率×標準操業度)が、予定配賦額になります。標準原価計算制度においては、標準操業度分しか製造間接費は配賦されません。

実際操業度(「じ」)から配賦線までのタテ棒の長さ(=配賦率×実際操業度:実際原価計算における予定配賦額)と、標準操業度における予定配賦額との差額が、能率差異にあたります。

つまり、操業(作業・仕事)はしたけれども、標準(ノルマ)時間よりも余計に能率悪く操業した分の製造間接費ムダ使いを意味します。

能率差異の算出式は、

能率差異=標準配賦率(円/時間)×(標準操業度(時間)―実際操業度(時間))

つまり、標準よりも能率悪く余計にかかっちゃった作業時間分に、配賦率を掛けて計算します。

予算差異と操業度差異に関しては、すでの学習済みの実際原価計算の場合と同じです。

【変動予算の場合のシュラッター図~標準原価計算】

固定予算の場合と同じく、タテ棒が3本になり、左から標準→実際→基準の順で並べます。

変動予算の場合は、グラフが2本(変動費と固定費)になり、2本のグラフに挟まれた部分が予定配賦額になるんでした。

なので、標準操業度(「ひ」)における変動費グラフと固定費グラフの間の部分が予定配賦額になります。

これに対し、実際操業度(「じ」)における変動費グラフと固定費グラフに挟まれた部分の長さと、予定配賦額との差額が能率差異になるのですが、変動予算の場合グラフが上下に2本あるので、能率差異の出現場所も上下2か所になります。

上側に生じる能率差異は、変動費分の能率差異であり、下側に生じる能率差異は、固定費分の能率差異です。

というわけで、差異が4か所現れるので、「4分法」といいます。

このうち、変動費側の能率差異と固定費側の能率差異を合算して、能率差異1本にまとめよという出題もあります。この場合は「3分法」です(仕入・売上・繰越商品の3分法とは関係ありません)。

また、固定費の能率差異を、操業度差異と合算して、両方まとめて操業度差異とせよという出題もあります。この場合も「3分法」といいます。

いずれにしても、基本は、製造間接費差異を4つに分けることです。

次講では、このシュラッター図を描いて、実際の本試験問題を解いてみましょう。

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