前講までで、材料を工程の始点で投入する場合と、終点で投入する場合の両極端の場合を学習しました。

始点投入の場合は、完成品・仕掛品の区別なく、生産データの数量そのままを使って原価計算しました。

終点投入の場合は、仕掛品はゼロで、完成品だけに材料費を計上しました。

では、こんな両極端ではなく、工程の途中で材料を投入する場合は、どのように計算すればいいのでしょうか。

2通りの計算方法~材料を途中点で投入する場合

工程の途中で投入される材料の場合、2通りに場合分けして、計算方法が違ってきます。

その2通りとは、

(1)材料の投入される時点の加工進捗度<(月初・月末)仕掛品の加工進捗度

(2)(月初・月末)仕掛品の加工進捗度<材料の投入される時点の加工進捗度

つまり、材料の投入地点と、月初・月末仕掛品の加工進捗度を比べて、どちらが先かという場合分けになります。

材料投入<仕掛品の場合

まず(1)の場合から考えてみましょう。

例えば仮に、材料Aを加工進捗度25%地点で投入し、月初or月末仕掛品の加工進捗度が50%だったとします。

この場合、完成品と月初or月末仕掛品に材料Aは入ってるでしょうか?

まず、完成品には必ず、どの時点で投入された材料でも入っています。

問題は仕掛品です。この例では、月初or月末仕掛品の加工進捗度50%の時点よりも手前の25%のところで材料Aは投入されているので、月初or月末仕掛品にも材料Aは入っています。ここで勘違いしないように注意が必要なのは、月初or月末仕掛品の数量を使うときに、加工進捗度の25%や50%を掛けてはいけない、という点です。材料Aは、進捗度25%地点で全量(100%)投入されているので、完成品と同様に、生産データの数字そのままで計算します(この場合、始点投入と同じになります)。

仕掛品<材料投入の場合

次に(2)の場合はどうでしょうか?

例えば仮に、材料Bを加工進捗度75%地点で投入し、月初or月末仕掛品の加工進捗度が50%だったとします。

この場合、完成品と月初or月末仕掛品に材料Bは入ってるでしょうか?

まず、完成品には必ず、どの時点で投入された材料でも入っています。

問題は仕掛品です。この例では、月初or月末仕掛品の加工進捗度50%の時点よりも後の75%のところで材料Bは投入されているので、月初or月末仕掛品には材料Bは入っていません。ここで勘違いしないように注意が必要なのは、月初or月末仕掛品の数量を使うときに、加工進捗度の25%や50%を掛けてはいけない、という点です。材料Bは、進捗度75%地点で全量(100%)投入されているので、進捗度25%の月初or月末仕掛品には、まだ1個も材料Bは入っていません。ゼロです。(この場合、終点投入と同じになります)。

さあ、それでは、日商簿記2級本試験で出題される本番形式の問題で、具体的な原価計算の仕方を見ていきましょう。

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