前講で作成したような原価計算表は、当月に作り始めて(着手)、同じ当月中に完成した場合のものになります。
いつも、当月着手・当月完成とは限りません。
まず、先月から作り始めて、先月中に完成せずに、当月途中から製造を再開した場合の例を考えてみます。
【設例5】原価計算表への記入 (1)材料¥5,000を掛けで仕入れた。 (2)材料を、製造指図書№101製造のために¥2,000、製造指図書№102製造のために¥1,000、製造用機械の修繕のために¥500それぞれ消費した。 (3)工員に対し賃金¥10,000を現金で支払った。 (4)(3)の内訳としては、製造指図書№101製造に従事した分が¥5,000、№102製造に従事した分が¥3,000、工場内の清掃に従事した分が¥2,000であった。 (5)製品製造に必要な経費¥6,000を現金で支払った。 (6)(5)の内訳としては、製造指図書№101製造のために¥2,000、№102製造のために¥1,000、両製品に共通して発生したものが¥3,000であった。 (7)製造間接費¥5,500を、製造指図書№101に¥3,000、製造指図書№102に¥2,500それぞれ配賦する。 (8)製造指図書№101は前月に製造着手し、前月から原価¥4,000が繰り越されている。 |
(1)~(7)は前講までで学習してきた設例と同じなので、仕訳等の説明は省略します。
下記の原価計算表についても、直接材料費・直接労務費・直接経費・製造間接費の項目は前講までと同じですが、表の一番上に「前月繰越」欄が追加されています。
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問題文(8)のとおり、№101の前期繰越欄に、前月末までの原価4,000を入れてあげます。
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これで、№101は先月の製造原価¥4,000を含め、今月末までに製造原価が¥16,000かかっていることがわかります。
また、№102は、前月繰越欄がゼロなので、今月から作り始めたこともわかります。
次は、当月中に完成せず、次月に繰り越す場合の個別原価計算表について学習します。