前講までで、直接材料を工程の始点、終点、途中点及び工程を通じて平均的に投入するという各パターンの場合についての総合原価計算の仕方を学習してきました。

ここで、再度各パターンの考え方と原価計算の仕方をまとめてみましょう。

「もう、復習しなくてもわかってるよ」という方は、飛ばしてもらっても構いませんが、次の減損・仕損にも通じる考え方なので、ご一読いただけると、このあとスムーズに学習が進められるかと思います。

直接材料を投入するタイミングによって、総合原価計算のやり方が3通りにまとめられます。どの場合とどの場合とどの場合か、わかりますか?

(1)「材料投入時点<月初or月末仕掛品の加工進捗度」の場合

(2)「月初or月末仕掛品の加工進捗度<材料投入時点」の場合

(3)工程を通じて材料を平均的に投入する場合

さあ、上記の(1)~(3)の場合について、それぞれ、直接材料費をどのように計算すればよいか、思い出せますか?

(1)「材料投入時点<月初or月末仕掛品の加工進捗度」の場合

この場合は、仕掛品も完成品も、どちらも材料投入後なので、どちらにも投入材料が入っています。直接材料費は仕掛品にも完成品にも配分します。そのために、仕掛品・完成品とも、生産データの数量をそのまま使って計算します。

(2)「月初or月末仕掛品の加工進捗度<材料投入時点」の場合

この場合は、完成品にはもちろん投入材料が入っていますが、仕掛品は、材料投入前の段階なので、仕掛品にはまだ材料が入っていません。なので、直接材料費は完成品だけに配分して、仕掛品には直接材料費をカウントしません。そのために、完成品は生産データの数量そのままですが、仕掛品は数量ゼロで原価計算します。

(3)工程を通じて材料を平均的に投入する場合

この場合は、工程のある時点で材料を全量投入するのではなく、材料が少量ずつ投入され続けるので、完成品と比べた仕掛品に含まれる直接材料の割合が、加工進捗度と同じになります。

例えば上の図の例のように、月初or月末仕掛品の加工進捗度が30%だとすると、この時点での仕掛品に含まれる直接材料は、完成品に含まれる直接材料の30%分入っていることになります。

なので、原価計算方法としては、加工費の原価計算と同様に、仕掛品については生産データで与えられた数量に加工進捗度を掛けて、完成品換算量に直してから、原価計算に使うというやり方になります。

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