第1次集計~部門共通費

前講では、部門別計算の最初のステップである第1次集計のうち、各部門に紐づけできる製造間接費=部門個別費を配賦表に転記するところを学習しました。

【設例2】(再掲)
次の資料に基づき、製造間接費部門別配賦表(部門費の集計まで)を作成し、製造間接費勘定から各部門費勘定へ振り替える仕訳を行いなさい。

【部門個別費解答】

次に、部門共通費(本問では建物減価償却費と水道料)は、5部門トータルでの総額しか資料で与えられていないので、配賦基準を使って、5部門に配分します。

配賦基準の選び方・配賦計算の仕方

まず建物減価償却費ですが、配賦基準は「占有面積」と「水道消費量」の2種類あります。どちらを基準に使えばいいかわかりますか?

建物減価償却費を各部門に配分する基準ですから、水道消費量じゃなくて占有面積のほうがふさわしいですよね。

建物減価償却費は、5部門合計で¥5,000です。一方、占有面積の5部門合計は、40㎡+40㎡+5㎡+10㎡+5㎡=100㎡

とわかります。

このうち、第1製造部門は40㎡を占めているわけです。全体の40/100です。

ですから、建物減価償却費も、40/100負担してもらいましょう。

¥5,000×40/100=¥2,000

これが、第1製造部門に配賦する建物減価償却費になります。

他の部門も、これと同様の考え方で建物減価償却費を配分します。

つまり、占有面積のうち、

第2製造部門は40/100、動力部門は5/100、修繕部門は10/100、工場事務部門は5/100

この占有割合を、建物減価償却費¥5,000にそれぞれ掛けていきます。

計算スピードを速くするには?~配賦率の利用

このとき、電卓で計算する場合に、例えば「×40/100」だったら、電卓では「×40÷100」または「÷100×40」と叩くことになります。5部門計算すると、同じ「÷100」を5回叩くことになり、時間のロスです。

そこで、5部門とも同じである「÷100」をはじめに計算しておいて、

5,000÷100=50(円/㎡)

をあらかじめ出しておきます(これを「配賦率」といいます)。

こうしておけば、あとは各部門の占有面積を掛けていくだけで配賦額が出せます。

次に、もう一つの部門共通費である水道料についても、同じように計算します。

水道料を各部門に配分する基準となる水道消費量は、5部門合計で35㎥です。

水道料合計額¥7,000を、水道消費量合計35㎥で割って、

7,000÷35=200(円/㎥)

という配賦率をまず出しておきます。

そのうえで、各部門の水道消費量を掛けていきます。

例えば、第1製造部門であれば、配賦率¥200/㎥に水道消費量15㎥を掛けて、

200×15=3,000

これが第1製造部門の水道料の配賦額になります。

他部門も同様に配賦額を計算していくと・・・

これで、部門個別費と部門共通費(建物減価償却累計額と水道料)がすべて埋まったので、部門費合計額を出します。

これで、製造間接費トータルを、5部門に配分し、各部門の部門費が算出されました。

次に、前講の部門個別費から部門共通費を各部門の部門費に配賦する第1次集計の仕訳と勘定記入をつくっていきます。

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