第2次集計~2つのやり方
前講では、なぜ第2次集計が必要なのかをご紹介しました。
この講では具体的に、日商簿記検定2級本試験レベルの第2次集計の問題を見ていきましょう。
【設例3】 次の資料に基づき、製造間接費部門別配賦表を作成し、各補助部門費勘定から製造部門費勘定へ振り替える仕訳を行いなさい。なお、補助部門費の製造部門費への配賦は直接配賦法により行う。 |
前々講の第1次集計の部門共通費の配賦と同様に、補助部門である動力部門の部門費¥5,950を配賦基準である各部門の電力消費量を基準に各部門に配賦します。同様に修繕部門費¥8,900は修繕回数を基準に、工場事務部門費¥10,150は作業員数を基準に、各部門に配賦します。
ここで、第2次集計の配賦計算の仕方に2通りのやり方があります。
- 直接配賦法
- 相互配賦法
この講ではまず、直接配賦法を使って、配賦計算をしていきます。
直接配賦法とは
直接配賦法とは何か?
例えば、まず動力部門費¥5,950を、動力部が供給した電力を消費している部門に、その消費量の割合だけ配分していきます。
電力を消費している部門は、第1製造部門(30kwh)、第2製造部門(40kwh)、それと修繕部門(5kwh)です。この3部門で合計75kwh電力を消費しました。
このうち、修繕部門には5kwh/75kwh分の動力部門費が配分されますが、修繕部門も補助部門なので、さらに製造部門に配分しなければなりません。
直接配賦法では、このような補助部門から補助部門への配分をせず無視して、あくまで製造部門だけに動力を提供したと考えて、配賦計算をします。
直接配賦法による配賦額の計算方法
具体的には、【設例3】では、動力部門が供給した電力トータル75kwhのうち、例えば第1製造部門では30kwhですから、本当は30/75で動力部門費を配分すべきところです。
ところが、補助部門である修繕部門への電力提供を無視するので、あくまで第1製造部門の30kwhと第2製造部門の40kwhだけ供給したと考えるのが直接配賦法です。
つまり、第1製造部門には、動力部門費¥5,950の30/75ではなく、30/70を掛けた額を配賦します。同様に、第2製造部門には5,950×40/70です。
配賦基準はバツだらけ
あとは、動力部門費と同様に、修繕部門費も工場事務部門費も、あたかも第1製造部門と第2製造部門だけに仕事をしたかのように配賦計算をします。
修繕部門費の配賦基準となる修繕回数は、本当はトータル5回ですが、そのうち補助部門である動力部門に対する1回分は無視して、全4回の修繕のうち、第1製造部門に2回、第2製造部門にも2回修繕したと考え、配賦します。
同様に、工場事務部門費の配賦基準となる作業員数は、本当はトータル35人ですが、そのうち補助部門の人数は無視して、トータル25人(第1製造部門:15人+第2製造部門:10人)で、第1製造部門と第2製造部門に配賦します。
直接配賦法による部門別配賦表の作成
上記のように、直接配賦法により各補助部門費から各製造部門費への配賦額を計算し、部門別配賦表を作成すると、次のとおりとなります。
製造部門費合計は、第1製造部門と第2製造部門について、部門個別費・部門共通費合計に、補助部門費配賦額を合計したものです。
【各配賦額計算の根拠】
・動力部門費¥5,950×30kwh/70kwh=¥2,550(第1製造部門費へ)
×40kwh/70kwh=¥3,400(第2製造部門費へ)
または、¥5,950÷70kwh=配賦率@¥85/kwh
→配賦率@¥85/kwh×30kwh=¥2,550(第1)、85×40=3,400(第2)
・修繕部門費¥8,900×2回/4回=¥4,450(第1・第2製造部門とも)
または、¥8,900÷4回=配賦率@¥2,225/回
→配賦率@¥2,225×2回=¥4,450(第1・第2製造部門とも)
・工場事務部門費¥10,150×15人/25人=¥6,090(第1製造部門へ)
×10人/25人=¥4,060(第2製造部門へ)
または、¥10,150÷25人=配賦率@¥406/人
→配賦率@¥406/人×15人=6,090(第1)、406×10=4,060(第2)