前講まででは、製造間接費の実際発生額をもとに、第1次~第3次集計を経て、各製品に製造間接費を配賦する、実際配賦を見てきました。

これに対し、製造原価計算の迅速などの目的で、予定額を使った予定配賦をする場合もあります。

【設例6】
次の資料に基づき、製造部門費を各製造指図書に予定配賦し、あわせてその配賦の仕訳を行いなさい。なお、各部門費は年間予算額及び年間予定直接作業時間を基準として予定配賦するものとする。

[資料]

解き方の手順としては、製造間接費の予定配賦の講でやったように、

  1. 年間予算額÷年間基準操業度で予定配賦率を算出
  2. 予定配賦率×実際操業度で予定配賦額を算出
  3. 予定配賦額と実際発生額の差異(配賦差異)の処理

の順で計算していきます。

(本問【設例6】では、3.の配賦差異の処理までは求められていませんが)

手順1.予定配賦率の算出

年間予算額と年間時間を見たら、反射的に割ってください。

第1製造部門

:年間予算¥300,000÷年間予定直接作業時間200時間

=@¥1,500/時間(第1製造部門費予定配賦率)

第2製造部門

:年間予算¥375,000÷年間予定直接作業時間300時間

=@¥1,250/時間(第2製造部門費予定配賦率)

手順2.予定配賦額の計算

予定配賦率が出たら、これも反射的に、実際作業時間を掛けてください。

第1製造部門

製品№101:@¥1,500/時間×7時間=¥10,500

  №102:@¥1,500/時間×10時間=¥15,000

→第1製造部門合計:¥10,500+¥15,000=¥25,500

第2製造部門

製品№101:@¥1,250/時間×10時間=¥12,500

  №102:@¥1,250/時間×9時間=¥11,250

→第2製造部門合計:¥12,500+¥11,250=¥23,750

以上を、製品別に集計し直し、

製品№101:第1部門費¥10,500+第2部門費¥12,500=¥23,000

  №102:  〃  ¥15,000+  〃  ¥11,250=¥26,250

予定配賦の仕訳と勘定連絡図

以上の計算結果を使って、製造部門費から製品への配賦の仕訳を行います。製造間接費の予定配賦の講でも学習したように、配賦する製造部門費は貸方。配賦される製品(仕掛品)は借方です。

製品№101と№102は、仕訳の上では区別なくどちらも仕掛品になります。

【第3次集計の仕訳】

(借)仕掛品 49,250 

/(貸)第1製造部門費 25,500

/(貸)第2製造部門費 23,750

上記の仕訳を勘定記入し、勘定連絡図にすると、

となります。

【設例6】に関しては、これでおしまいですが、予定配賦額といえば、必ず実際発生額との差異の処理もセットになるので、あわせて見ておきましょう。

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