前講で製造間接費配賦差異の差異分析とは何か、引き算による式を使った差異分析に仕方などを学習しました。
ここでは、日商簿記検定2級本試験で出題されるタイプの例題演習形式で、解き方の手順を、予定配賦額の計算から配賦差異の算出、さらに差異分析を、手順を重視し、一連の流れごとマスターしていきます。
予算差異と操業度差異を分ける予算額については、固定予算と変動予算の2種類ありますが、この講ではまず固定予算から演習していきます。
【設例5】 次の資料に基づき、当月の製造間接費配賦差異を計算し、予算差異と操業度差異に分析してください。 [資料] 製造間接費年間予算額¥62,400 年間基準操業度(直接作業時間)1,560時間 製造間接費当月実際発生額¥5,500 当月実際操業度(直接作業時間)125時間 |
この【設例5】のような問題が、日商簿記検定2級本試験で出題される製造間接費の典型的な問題です。
【手順0】下ごしらえ~12で割っておく
問題文を一読したら、解いていく前の下ごしらえとして、年間の値を12で割って月間の値を出しておきましょう。
・製造間接費年間予算額¥62,400÷12か月=月間予算額¥5,200
・年間基準操業度1,560時間÷12か月=月間基準操業度130時間
以上の下ごしらえをしたうえで、解き方の手順に入っていきます。
【手順1】予定配賦率
解き方の手順としては、まず、製造間接費の年間予算額を年間基準操業度で割ります!
製造間接費年間予算額¥62,400÷年間基準操業度1,560時間=@¥40/時間
1時間あたりの製造間接費予算額。これが予定配賦率です。
次は、当月実際操業度を掛けてください!
【手順2】予定配賦額
予定配賦率@¥40/kg×当月実際操業度125時間=¥5,000
これが予定配賦額です。予定配賦額が出たら、そこから実際発生額を引きます!
【手順3】配賦差異の算出
予定配賦額¥5,000-実際発生額¥5,500=△500(不利差異)
これで、本問題の前半の問いの答えは出ました。次は差異分析です。
【手順4】差異分析
差異分析にあたって、まずは基準となる予算額を計算しておきます。
製造間接費年間予算額¥62,400÷12か月=月間予算額¥5,200
これで、【手順3】の配賦差異の式に対し、月間予算額を間に入れて、2つの引き算に分解します。
製造間接費配賦差異△500=
予定配賦額5,000-予算額5,200 =△200(操業度差異)
予算額5,200―実際発生額5,500=△300(予算差異)
以上、計算式で差異分析まで順を追って解いていきました。
計算式を正確に間違いなく書けるようになればいいんですが、特に最後の操業度差異や予算差異の式を間違えてしまう可能性もあります。
そこで、ここまで計算式だけで解いてきた【設例5】を、ビジュアルにグラフを描いて解くやり方を学習します。