前講では、部門別計算では何がしたいのか、部門別計算の概要について、学習しました。

部門別計算の流れとしては、大きく3つの段階に分かれます。

第1次集計→第2次集計→第3次集計の順に、計算・集計をしていきます。

第1次集計とは

まず第1次集計では、製造間接費全体を各部門に配分します。

例えば、上記の図のように、仮に部門が全部で6つ(切削・組立・塗装・動力・修繕・工場事務の各部門)あったとします。

製造間接費のうち、切削部門だけにかかる費用、組立部門だけにかかる費用・・・というように、それぞれの部門のうち、特定の部門だけにしか発生しない製造間接費を各部門に集計します。こうした各部門に紐づけできる製造間接費を部門個別費といいます。

次に、各部門に共通して発生する製造間接費を、何らかの基準で各部門に配分します。このように各部門に紐づけできず共通して発生している製造間接費を部門共通費といいます。

第2次集計とは

次に第2次集計では、補助部門の各部門に集計された部門個別費と部門共通費(補助部門費)を、製造部門に配分します。

ここでいう製造部門、補助部門とは何か?

各部門は、大きく製造部門と補助部門に分かれます。

第1次集計のところで例として挙げた6つの部門のうち、切削・組立・塗装の各部門が製造部門。動力・修繕・工場事務の各部門が補助部門になります。

製造部門は、製品の製造を直接行う部門で、補助部門は、製造部門をサポートする部門(例えば動力は製造部門で使う機械等の動力を供給し、修繕は製造部門の機械等の修繕、工場事務は、労務管理等でサポート)します。

これら、補助部門で発生する部門個別費・部門共通費(補助部門費)を、サポートしている度合に応じて各製造部門に配分します。

第3次集計とは

最後、第3次集計では、各製造部門費を、その製造部門での作業の度合い(一般的には作業時間)を基準に、各製品に配分します。

こうして製造間接費を単純に総作業時間だけで各製品に配賦するのではなく、一旦各部門の部門費として集計したうえで、その部門の利用度合いに応じて各製品に配賦することで、より実態に即した製品製造原価になるようにするのが、部門別計算です。

それでは、第1次集計から順に、日商簿記検定2級本試験で出題されるような具体的な設例を使って、集計の仕方や仕訳、勘定記入を学習していきましょう。

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