この講で学習すること
・直課(賦課)と配賦
・製造直接費と製造間接費<製品との関連による分類>

 

 

   

前講で学習した製造原価は、「ある製品を作るのにかかった費用・コスト」というような意味でしたが、その製品だけにかかるコストもあれば、いろいろな種類の製品に共通して発生するコストもあります。

例えば、みかんジュースとりんごジュースを作る製造業で考えてみます。

  • みかんジュースを1本作るために、1個50円のみかんを3個使うとします。
  • りんごジュースを1本作るために、1個100円のりんごを2個使うとします。

それぞれのジュース1本作るための製造原価(原材料費)はわかりますか?

  • みかんジュースの原材料費は、@¥50/個×3個=¥150
  • りんごジュースの原材料費は、@¥100/個×2個=¥200

(「@」は単価、「¥」は円を表します。)

難しくないですよね?

当たり前ですが、みかんジュースにはりんごの材料費は1円もかかりませんし、逆にりんごジュースにはみかんは入りません。

ところで、みかんジュースもりんごジュースも、原材料を絞ってジュースに加工するために、ミキサーを使います。そのミキサーを動かすための電気代がかかります。電気代は、請求書によると¥3,000かかっています。

さて、みかんジュースとりんごジュースを作るために、それぞれ電気代はいくらかかっているでしょうか?

これだけじゃ、わからないですよね?

電気代の請求書だって、みかんジュース分いくら、りんごジュース分いくらなんて分けてくれるわけなく、合計で¥3,000しかわかりません。

条件を追加します。

みかんジュースを絞るのに2時間、りんごジュースを絞るのに1時間、それぞれミキサーを使ったとします。これならわかりますか?

合計¥3,000の電気代を2:1に分けて、みかんジュースに¥2,000、りんごジュースに¥1,000が妥当ではないでしょうか。

以上のように、みかんジュースに必要なみかんの材料費や、りんごジュースに必要なりんごの材料費のように、それぞれの製品にコストを紐づけすることを「直課」(または「賦課」)といい、直課できるコストのことを「製造直接費」といいます。

一方、みかんジュース、りんごジュースに共通して発生する電気代のように、合計金額しかわからず、何らかの基準で各製品にコストを割り振ることを「配賦」といいます。このように特定の製品に紐づけできず、共通的に発生するようなコストのことを「製造間接費」といいます。

以上のように、ある製品にいくらかかったか明らかかそうでないかによって「製造直接費」と「製造間接費」に分けることを、製造原価の製品との関連による分類といいます。

「直接費と間接費」のまとめ
・特定の製品にいくらかかったか明らかなコスト→製造直接費
・特定の製品にいくらかかったか明らかでないコスト→製造間接費

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